予防歯科Preventive dentistry
概 要
- 食事とPHの関係
う蝕は食物、飲み物に含まれる糖と口腔内の細菌が産生した酸によって歯が脱灰していく歯質の崩壊を主な変化とする疾患です。それと対極にあるのが、歯の再石灰化(歯を修復する)です。虫歯にならない人はこの再石灰化が強い人です。歯の再石灰化を促進する因子には唾液、フッ化物、抗う蝕生物質、CPP-ACP酸を作らないガム(リカルデントガム、キシリトール+2)、プラークコントロールによる糖や細菌のコントロール(歯ブラシ)があります。
私たちが日常生活を送っていくなかで口の中の環境は劇的に変化します。特に私たちが口にするほとんどのものは細菌の栄養源となる糖が含まれています。そして飲食をするたびに口の中の細菌はそれらを栄養源にして酸を産生するので口の中は酸性の環境になり、その酸に長時間さらされることで歯は脱灰してしまうのです。
右図のように飲食する回数が多いほど脱灰時問が長くなるためう蝕になる可能性が高いわけです。しかし完全に間食を否定してしまうことは、実践しづらいことでしょう。できれば時間を決めてその時間内に食べるなど、実践しやすいようにしていくことが大切です。間食ではなく食後のデザートとして食べるように薦めるのもよいでしょう。通常成熟したエナメル質はpHが5.5〜5.7くらいになると脱灰をはじめます。この脱灰のはじまるpHを『臨界pH』と呼んでいます。この臨界pHは歯の成熟度によって変わってきます。
- 唾液の働き
希釈・洗浄作用
抗菌作用
歯の保護作用
緩衝作用
唾液の緩衝能の高い人(虫歯になりにくい人)
唾液の緩衝能の低い人(虫歯になりやすい人)
歯の再石灰化作用
免疫作用
カリエス リスクテスト(サリパ テスト)
唾液を調べる事により、唾液の分泌の高い人、低い人、口腔内の細菌の量(口の中のよごれ具合)、酸を中和する緩衝作用の高い人、低い人を判定する事が出来ます。PMTCとは(プロフェッショナル・メカニカル・トゥ−ス・クリーニング)歯科医師、歯科衛生士によっておこなわれる器械的なプラークコントロールの方法です。キーリスク部位の歯間隣接面を重点的に清掃、研磨していく事にう蝕や歯周病を抑制する効果的なテクニックです。
歯周病Periodontal disease
概 要
- 歯周病は細菌による感染病
歯周病は細菌による感染病であり歯をささえる歯周組織(歯肉、歯根膜、セメント質、骨)が破壊され終局には、歯の自然脱落がおき歯を失う事があります。進行程度により初期、中等度、重度、の三段階がありますが通常、歯周病は自覚症状がなく進行し歯が動くなどの自覚症状をもって歯科医院に来院する時はすでに中等度、重度に進行しているのがほとんどです。
初期、中等度では初期治療(プラークコントロール、スケーリング、ルートプレーニング等)により進行を止める事が可能ですが重度にまで進行している場合はなかなかそうはいきません。中等度から重度の中の一部は初期治療終了後にエムドゲインゲル(歯周組織再生誘導材料)や、GTR膜を使用し理想的な歯周組織を再生させる事が出来る様になってきました。
- 歯周組織再生の違い(模式図)
- 治療例
エムレントゲン骨の再生部位(治療前が左、治療後が右)